日野原先生は「よど号ハイジャック事件」に遭遇し、他の乗客とともに人質となり4日間拘束され、死も覚悟されたそうです。韓国の金浦空港で解放された後は、内科医としての名声を求めるよりも、事件以後の命を与えられたと考えるようになったと述懐され、105歳で亡くなるまで精力的に医療に取り組まれました。私の大好きな方の一人です。NHKの番組で語られていた先生の健康感を抜粋してご紹介します。
WHOは「健康」について、次のように定義しています。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。
(WHO憲章 健康の定義より)
つまり「病気がないのが健康」と思いがちですが、日野原先生は「探したら誰でもアラが出る」ものだと。「人間は止む臓器だから、もともと欠陥を持っている。」だから、「気にしない」のだと。ご自身も小さい脳梗塞があったそうですが、活動に影響しないものだからとそのままにされていたそうです。
「一病息災」「病気にめげず、心は健やかであることが健康」なんだ、「たとえ病気を持っていても、上手に生きている姿こそか健康」だと、教えてくださいました。
施術者として、病の元を少しでも減らしたい思いに駆られそうになりますが、日野原先生の健康観に立ち返ると、施術者としてなすべきことがクリアになる気がします。