コレステロール その3・コレステロールと病気

コレステロールと関連の深い病気と、治療薬についてわかりやすくご説明します。
・ 動脈硬化症
本来必要な場所にコレステロールが十分にあると、増えすぎたLDLは、コレステロールを持て余してしまいます。すると、LDLは血管の中を走っている間にコレステロールを離してしまいます。そしてそのコレステロールが血管の壁に沈着してしまいます。これが動脈硬化の始まりなのです。(「コレステロール その1」参照 →酸化LDLに要注意)
・ 高コレステロール血症治療薬と動脈硬化
HMG-CoAリダクターゼ阻害薬(スタチン)の動脈硬化に対する影響が明らかになっています。このお薬を服用すると・・・
①リポタンパク質の分布が不健康型から健康な型へと変化します。
②健常人においてもHDLを増やすように作用します。
③心疾患が無い、心臓発作病歴が無いなどの無症状患者の場合、心疾患による死亡率は薬を服用しない場合と統計上の有意差が無いことが分かっています。
LDLが140mg/dl以上になると病院で処方される薬とその働きを簡単にご紹介します。
HMG-CoA還元酵素阻害薬:肝臓でLDLが合成されるのを抑える
・悪玉コレストロール(下げる)
・善玉コレストロール(上げる)
・中性脂肪(-)
プロブコール:コレステロールが酸化し、血管に付着するのを防ぐ
陰イオン 交換樹脂:脂肪酸が集まって中性脂肪になるのを防ぐ薬
・悪玉コレストロール(下げる)
・善玉コレストロール(-)
・中性脂肪(-)
ニコチン酸 誘導体
・悪玉コレストロール(下げる)
・善玉コレストロール(上げる)
・中性脂肪(下げる)
フィブラート 系薬:中性脂肪の合成を抑制する
・悪玉コレストロール(下げる)
・善玉コレストロール(上げる)
・中性脂肪(下げる)
フィブラート 系薬:血小板の働きを抑制して固まるのを防ぐ
・悪玉コレストロール(-)
・善玉コレストロール(-)
・中性脂肪(下げる)
現状では、動脈硬化を発症している患者について、高コレステロール血症は明らかに症状を悪化させる因子ですが、低いコレステロールが冠動脈疾患や動脈硬化を改善するかどうかは明確になっていません。(「コレステロール その2」参照 →低すぎると別の疾患の死亡率が上昇)


・ 冠動脈疾患と治療効果
米国で最近行われた冠動脈疾患とそのリスク評価に関する研究では、
①LDLが低減したことが冠動脈疾患の進行を抑止した(少数の症例)
②構成比の異常が治療により成功しても、アテローム動脈硬化の治療の必要性が無くなった症例はごくわずか
と報告されています。
・ 糖尿病、メタボリックシンドロームと動脈硬化リスク
糖尿病による高血糖は血管内皮細胞を障害し、耐糖能異常(いわゆる「糖尿病予備軍」詳しくはこちらを参照)があると血糖が低くても高インスリン血症を引き起こすので血管内皮細胞に悪影響を及ぼします。したがって耐糖能異常があるとすでに動脈硬化や冠動脈疾患のリスクを抱えていることになります。その為、糖尿病患者や患者予備軍は高コレステロール血症や低HDL血症については注意を払う必要があります。このような理由により、糖代謝と脂質代謝が同時平行的に複合的に異常を起こすメタボリックシンドロームが注目されています。
・ がんとコレステロール
コレステロール摂取量と卵巣がん、子宮内膜がん、肺がん、膵臓がん、大腸がん、直腸がんにおいて、正の関連を認めた報告が多くあります。
国立がんセンターのサイトには、
「総コレステロール低値とがん発生との関連は、男女の肝がん、男性の胃がんで強く認められました。一方、男性の前立腺がんでは、総コレステロール値が高いほど発生リスクの上昇が見られました。」とあります。
・ 更年期・閉経後の女性とコレステロール
エストロゲンは、月経や妊娠という女性特有の性機能に深く関わりを持つほか、肌の水分・皮脂量の調整、コラーゲンの生成、乳房の発達など、美容や健康面において様々な働きをしています。更年期といわれる45〜55歳くらいになると、十分なエストロゲンを出せなくなります。すると、視床下部は多くの性腺刺激ホルモンを分泌し、エストロゲンを分泌させようと促すのですが、いくら刺激しても分泌できない状態なので、視床下部が混乱し、自律神経が乱れて(これが更年期障害のほてりや発汗、イライラなどの症状の原因の一つとして考えられています)しまうという状況に陥ります。更年期後の老年期(55歳以降)には、ほとんどの人が閉経を迎えます。子宮や卵巣も萎縮して小さくなり、エストロゲンの分泌も完全になくなります。エストロゲンにはコレステロールの量を調整(肝臓や小腸でのHDLコレステロールの合成を増やす)して、内臓脂肪を減らす働きがありますので、エストロゲンの分泌が低下すると、LDL上昇、内臓脂肪増加、肥満、動脈硬化進行から心疾患や脳血管疾患のような命に関わる大きな病気になるリスクが高まります。
「エストロゲンを摂取する方法」と「エストロゲンを減らさない方法」について、簡単にご紹介します。
①エストロゲンを摂取する方法
・乳製品を摂る
牛乳、チーズやヨーグルトなど。
*乳がんのリスクが高くなる可能性や、カルシウムが流出すると言う報告もあります。
・1日2杯コーヒーを飲む
コーヒーに含まれるカフェインは、血液中のエストロゲンレベルを増加させる効果があると言われています。アメリカ国立衛生研究所の調査によると、 コーヒー2杯相当のカフェインは、エストロゲンレベルの上昇をもたらすとしています。ただし、269名の女性を対象にした研究では、 アジア人や黒人ではエストロゲンレベルが上昇したものの、 白人においては、エストロゲンレベルが低下したようです。
・大豆製品を取る
大豆イソフラボンは外因性エストロゲンと言われ、エストロゲンと同じような作用を持ちます。
・ゴマを食べる
ゴマに含まれるリグナンは、「ポリフェノール」の一種で、抗酸化や抗炎症作用とともに、腸内細菌の働きによって、エストロゲンと同じ作用を持つ物質に変化します。
②エストロゲンを減らさない方法
・ストレスをためない
ストレスがあると、副腎でコルチゾールというホルモンが作られます。コルチゾールもエストロゲンも原料はコレステロールですので、コルチゾールが必要になると、エストロゲンの産生量は減ってしまいます。

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