第69回日本東洋医学会学術総会 3日目 レポート

この春、産経新聞に掲載された記事で話題になった、国際疾病分類(ICD-11)に東洋医学の病名が盛り込まれるという件について、お話を聞いてまいりました。
JLOM分類・用語及び病名分類委員会・辞書編纂委員会報告会
ISO/TC247 並木隆雄先生
漢方・中医学関連の原料・製品・用語に関する標準化
・ISOとは:民間非政府組織、本来はモノの標準化、中国はサービス、教育、訓練なども盛り込みたい
・WTOのTBT協定:国内規格よりも国際規格を優先=ISOで決まったらJISの決まりを変えられてしまう。輸出入においても。
・JLOMとは:2005年設立、WHOのために作った
http://jlom.umin.jp/
・日本の対応:
 産:日本漢方製薬協会、日本理学療法機械工業会
 官:経産省、厚労省
 学:JLOM
・2018年の全体会議@上海
 TC249のタイトルが正式にTCM(中医学)となる
 5つのワーキンググループの内訳 
  1、2→生薬(産官学)
  3(鍼)、4(鍼以外の器具)→鍼灸・伝統医療器具→産官学
  5→用語(JLOMが力を入れたい)
 教育関係、臨床的事項の標準化にスコープを拡大する可能性(日本はWHO主導をのぞむ)まずは鍼灸、のちに生薬。
 →日常診療の一部を規定されてしまう恐れ
 中国はたくさんの人員を送り込み、発言力を高めている
 今後の課題
  1、日本生産生薬の権利確保
  2、TCM、韓医学と東洋医学の違いの確認
  3、提案の質の担保(日本の良心)


北里大学 荒井康夫先生
・ICD-11の標準病名はレセプト入力の際にマッピングされる
・ICFはICD-11のなかに新たに章立てされ、一部が盛り込まれた
・ICDは10年ごとに改定
ICD-11の鍼灸分野 明治国際医療大学 和辻直先生
・「5、経脈病床の検討」12正経、奇経8脈病証
・課題
 1、保険診療でないので疾病統計の集積ができない
 2、ICD教育がほとんどない、認知を高める必要→冊子作成
 3、医療との連携、鍼灸師の資質向上
伝統医学的病態、診断、治療 5  O-235 北村先生
「口訣」漢方処方解説・矢数
「クリニカルパール」ティアニー先生のベストパール
臨床における両者の活用の有用性をお話いただきました。
糖質制限 O-191
辟穀(読み)へきこく(英語表記)pì gǔ のお話
中国の神仙術の一つ。辟は避ける,穀は穀物の意。神仙術では,穀物が体内で消化されるとそのかすから濁気が醸成されて,疾病を起こしたり,丹薬の作用を妨げる原因となると考えた。そこで,穀物の代りに松実,きのこ,薬草などを食して体内の気を清澄に保とうとする辟穀術が行われたが,同時に大気中の〈元気〉を直接摂取して体内をくまなく循環させる〈行気〉の術を行う必要があるとされた。導引
*コトバンクより
https://kotobank.jp/word/%E8%BE%9F%E7%A9%80-1203788
中医師の立場から漢方を考える 大阪北摂中医学研究会 菅沼栄先生
・中国では、60年前に中医薬大学が設立された。それまでは老中医が子供に教えていた。
・中医学(中薬):整体観念、弁証論治
 日本漢方:方証相対、随証治療
*方証相対とは:日本漢方独自の診断と治療を統合したシステムで、病者の呈している症状(証)からダイレクトに治療に用いられる漢方薬(方剤)が決定されます。例えば「葛根湯証」には葛根湯が用いられます。
別の言い方をすると、漢方医学的病態認識と漢方処方とを対応させて治療法を決定することです。(薬学用語解説 http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E5%BC%81%E8%A8%BC%E8%AB%96%E6%B2%BB 他参照)
*全体を通して目にとまったのは、浅田宗伯先生の「勿誤方函口訣」を根拠に漢方処方をされる先生が多いということ。
浅田宗伯先生は、浅田飴の生みの親だそうです。
https://www.asadaame.co.jp/history/asadasouhaku.html
以上、誤字脱字や間違った理解があるかもしれませんが、取り急ぎご報告いたします。
もし修正が必要な箇所など、何かお気付きの方がいらっしゃいましたら、ご指摘いただければ幸いです。

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